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プロフィール
HN:
水草蓮
性別:
女性
職業:
副団長
趣味:
もふ
自己紹介:
もふに夢中なダメ女。
母さんは笑顔で。
父さんは無言で。
見送ってくれた。
+ハーフ・ハーフ
aCt.1:ハジマリ
「弾けろ…灼熱の炎…!」
高温まで練りあげられたマナが爆発するイメージを浮かべる。
ひとつき前、母さんが見せてくれた新魔術。
その威力と綺麗さに魅せられて沢山練習を重ねた。
その結果、
「フィルバニッシュ!」
炎の光が的を的確に飲み込み、爆破と同じに消滅した。
「ふぅ…どう!?母さん!?」
振り向くと優しい笑顔を浮かべた母の姿。
長い銀色の髪が風で揺れている。
「うん。上出来上出来。」
嬉しそうにそう言い、ぎゅっと我が子を抱きしめる。
「さっすがウチの子だよ~。
んもーリオゥは僕の魔術センスを意外と受け継いでくれたからね。
お母さん嬉しいわぁ~。」
そう言ってぎゅっとさらに抱きしめる。
「ちょ!母さん苦しい!」
豊満な胸で顔が埋まって呼吸出来ない。
「あら、ごめんね。
ついうれしくって。」
やっと盛大な抱擁から解放され、大きく深呼吸。
「んでさ!母さん!」
「なぁに?」
「俺さ。旅に出ていい!?」
その言葉にびっくりしつつ苦笑を浮かべる。
「お母さんの放浪クセも継いだ見たいね。」
苦笑を浮かべてため息ひとつ吐いてから、
「お父さんに話なさい。
お父さんが許すならお母さんは止めません。」
「うん。分かった!」
元気の良い返事を返して走り出す。
小さくなってゆく息子の背中をみながら母親―ジーニアスはため息をもうひとつついた。
「あの子ももう16歳。
嫁いでもう20年…か。」
長いようで短い。
「さってと。
洗濯物を取り込んで支度しなきゃね。」
そう言って庭へと歩き始めた。
世界再生から25年。
最初は世界の混乱の為、忙しかったが、それも2年の間だけ。
仲間は各自の道を歩み始め、最初はジーニアスも姉であるリフィルと途中まで同じ道だったプレセア・リーガル・しいなと一緒だった。
それから最初にプレセアがいなくなり、しいなとも別れた。
そして暫くは3人旅だったが、途中でリーガルとリフィルがいなくなった。
リーガルがリフィルに古代の科学力について研究の依頼をしたからだ。
元々、神子ゼロスを通じてテセアラ王から似たような内容で協力を仰がれていたのもあってリフィルはあっさり承諾。
ジーニアスは当然リフィルの公私共にサポートをするつもりだったが、
「貴方は貴方の道を歩みなさい。
いつまでも私の面倒をみなくても良くてよ?」
そう言われ、そういえば自分のしたいことってなんだろう?
世界再生は終わった。
ハーフエルフの差別は軽減した。
あとは各ハーフエルフと人間の問題だろう。
二人と別れて小さな安い宿で一晩考えた。
自分ももう14歳。
一人で生きて行けるすべはある。
これからまだ長い寿命。
ただ彼を待つだけではいけない。
うーんと考えたその答えは。
僕は改めて新しい世界を見たい。
そういう答えが出て一人新しい世界見学の旅に出た。
最愛の人が宇宙へ旅立ち、知り合いを訪ね歩いた。
最初は近かったという理由で元パルマコスタ。
今はメルトキオである。
ゼロスと国王にリフィルが研究をブライアン家の支援を受けて開始することを伝え、
新設されたパルマコスタ学園を訪れ、ばったりとマイティとの再会。
生きていた喜びを分かち合ったのは最初の数分。
すぐ、再勝負だ!と言われ、10分時間復習のをもらい、テスト勝負で400点中450点もらいあっさり勝利。
学園に残りなよと言われたが今は自分の旅の途中。
気が向いたらねと返事を返し、次はアスカードへ。
ここは特に何もなかったらしく、かわらぬ平穏な日々を送っていた。
そこでアイーシャ・ライナーと再会し、リフィルが居ないとライナーはがっくり肩を落とした。
苦笑しながらハーレイの事を聞くと、新しく現れた遺跡を探してくると言い残し、ふらりとどっかに行ってしまったと。
何処かで会ったら早く帰って来てねと伝言を頼まれ、また放浪の旅へ。
ふらふらと歩きまわり、遺跡に埋もれるように食い付いていたハーレイと再会し伝言を伝え、次の目的地が同じだったから2人旅になった。
それから旅商人や一般人の護衛のバイトとかしながら楽しく旅を続け、最後にヘイムダールへと。
あまり行きたくないが、なんか行かないといけないような気がして。
そしてリカルドと再会し、一緒になった。
後悔はしていない。
たとえ、里の外に出る事を禁止されても。
その時に加えた条件。
子供が世界を見たいと言ったら行かせてあげて。
裏庭にある父の工房。
そこでマジックアイテムを作っているのだ。
魔術を使うより接近戦を好み、接近戦を補助するアイテムを作る道を選んだ。
それなりの魔力の持ち主でなければ出来ない事である。
幸いにも妻であるジーニアスが恐ろしいほど魔力に満ち溢れているため、丁度良かった。
カンカンカンと特集な金属を叩く音。
確か今日は盾を作ると言っていたなと思い出ししながら声をかけた。
「父さん!」
「ん…どうした?」
手を休めず返事が返ってくる。
「俺、フィルバニッシュ使えるようになったぜ!」
「そうか…良かったな。」
顔は見えないが、きっと微笑んでくれているだろう。
「でな…俺…。
旅に出たいんだ。」
そう言うとカンカンカンという音が一瞬止まった。
「………母さんはなんて言った?」
短い沈黙。
またカンカンカンと音が鳴る。
「父さんがいいって言ったら止めないって。」
じわりと手のひらに汗が滲出る。
「………納屋に行って奥から木の箱を持ってこい。」
「だから父さん!」
そんな手伝いより答えが欲しい。
「いいから持ってこい。」
他に何も言う事はないと背中が語る。
「…はーい。」
少し膨れながら足を納屋へと向けた。
カンカンカンとリズム良く音が鳴る。
「…もう16だもんな。仕方がないか。」
何処となく呟いて仕上げる為に魔力を集め始めた。
納屋の中はひんやりとしていて、埃っぽい。
「ぶっは。相変わらずすげぇ…。」
何度か母さんが納屋を綺麗にしようと挑戦したが、全てしくじり、家事の天才である母を退けた魔の納屋である。
「えっと…木の箱…木の箱…。」
がさがさと荷物をかきわけるとやたらと白い木の箱。
「…これかなぁ…?」
うっすらと積もっている埃。
この量からすると最近持ち込まれた物らしい。
「封がしてある。」
独特な古代エルフ文字。
四方形の封印。
「母さんかなぁ…?」
インクがにじんでいる文字をなぞる。
とても強いマナを感じる。
「んまぁいいや。
これ持って行けば話聞いてくれるよな。」
木の箱は細身ながらもなかなか重かった。
「…な…何が入ってんだろ?」
振ってみてもぴったりと入っているのか音ひとつしない。
「…とりあえず戻るか。」
カンカンカン。
「父さん!持ってきたぜ!」
地面に箱を置く。
手を止めた父親―リカルドが箱をちらっと見て、
「母さんよんでこい。」
そう言い、また作業に没頭する。
「ちぇ…」
また返事を貰いそこね、母のいる庭へ。
「母さん。父さんが来いって。」
そう、伝えると、
「うん。そっか。」
と何か納得した感じで頷き、歩き出す。
「リカルド。来たよ。」
ジーニアスがそう声をかける。
「それ。開けろ。」
そう言って箱を示す。
「はいはい。リカルドじゃ開けられないもんね~。」
くすくすと笑ってゆっくりと箱を撫でる。
「……また、貴方は戦うのね。
ごめんなさい。」
そう小さく呟く。
凄く苦しそうな呟き。
なんだろう?そう思いながら母がゆっくりと封を剥がす指先を見る。
丁寧につむがれた複雑なマナ。
『母さんはやっぱり凄い…』
ピリピリと肌が震える。
封が全て剥がされる。
「はい。リオゥ。おいで。」
ジーニアスが柔らかい笑みを浮かべる。
「さぁ、貴方の手で開けなさい。」
そう言い、リオゥを促す。
「うん。」
ゆっくりと箱の蓋に手をかける。
ギィ…と音を立てて箱の蓋が外される。
「これ………!」
手を伸ばしてそれ―一振りの剣を掴む。
使い込まれた長剣。
持つとしっくりと手に馴染む。
鞘から抜くと銀色の綺麗な刃。
「母さん!これ…は…?」
そう問うと、
「それはお母さんが大好きだった人の。
その剣に何度も救われたなぁ…。」
懐かしそうに目を細める。
大きくて広い背中。
長い燕尾のマント。
「その人の忘れ物。」
そう悲しそうな笑み。
「母さん…その人の事好きだったの…?」
自然と出た言葉に慌て母の顔を見ると、複雑な感じで、
「うん。でも、昔話だから。」
そう柔和な笑みを浮かべて、
「今が幸せだもの。
お父さんとリオゥと一緒だし。」
そう笑顔で言う。
「今はお父さんが一番好きだよ。
だからぁー拗ねないでね。」
そう言って旦那さんの頭を良し良しと撫でる。
「誰が今更すねるか。」
ふんっと面白くなさそうに鼻をならす。
「んもー素直じゃないんだから。」
「お前もな。」
「んで、んでさー。
俺、旅に出て良いの?
駄目なの?」
リオゥがじれったそうに言う。
「その剣。
リオゥにあげるわ。」
さらりと言われたその言葉。
「母さん…。」
母の大切な人の剣。
どんな気持ちで託してくれたのか。
「俺…。」
ぎゅっと剣を握りしめる。
「父さんと母さんの分まで世界を見てくるから。」
決意を決めた瞳。
まっすぐと二人を見つめている。
「うん。お土産話、楽しみにしているね。」
うっすらと涙を浮かべて言う。
リカルドがゆっくりと妻の背中を摩りながら、
「沢山勉強してこい。」
そう温かい眼差しで言った。
「さてと。これで全部ね。」
キュ…とリュックの紐を締める。
「いいこと?このメモにはお母さんの知り合い。
昔の仲間の大体の居場所が書いてあるわ。」
「メルトキオ、イセリア、アスカード、ミズホ、ガオラキア…。」
ひとつ一つ頭に叩き込む。
「そう。そして、サイバックにはお母さんのお姉さん。
つまり叔母さんがいると思うから困ったら行くのよ。」
「うん。分かった。」
リオゥが頷く。
「ほらよ。持ってけ。」
ほいっと父から渡されたのはベルトと肘まである皮の手袋。
「鋼はまだ重い。
成長の妨げになるから暫くはソレで我慢しろ。
そのうち、あうのを作ってやる。」
「父さん…。」
手袋は丁度よく、初めて着けたのにしっくりとした。
ベルトに剣を固定し、リュックを背負う。
「あんまり無理しちゃ駄目よ!
何事も程々にね!」
「わかってる!」
返事を返して。
「いってきます!」
片腕を天へと突き上げる。
「行ってらっしゃい!」
元気な母さんの声。
父さんは無言だけどわかるよ。
「よしっ!目指すの王都メルトキオ!」
「あーあ。行っちゃった。」
ジーニアスが呟く。
「静かになるな。」
「うん。」
ゆっくりと寄り添って指を絡める。
「暫く二人きりですな。」
ジーニアスがふふふっと嬉しそうに言う。
「………そうだな。」
キュ…と手を強く握る。
大丈夫。自分達の息子だ。
「うわぁ…。」
森を抜けると広がる知らない世界。
母が話してくれただけの世界。
「うっしゃ。
リオゥ・リーの大冒険の始まりだぜっ!」
そう言って一歩を踏み出そうとした時、
「おっそい!」
「は?」
後ろから聞こえた声。
淡い橙色の髪が揺れる。
「リオゥ遅い!
あたしをどんだけ待たせる気?!」
長めの杖を振るう。
「カ…カスタ!?」
そこにはばっちり旅支度の幼なじみの姿があった。
+
あ。ゼロス生きているよ。
いやね。
ジーニアスが最初旅していた仲間にゼロスいなかったからさ。
ゼロスは忙しい身分なのでスグ王都に帰ったの。
んで、ロイコレはノイッシュと一緒に旅立ち、残りで行動していただけ。
1なんだけど、続かないような気がする(死)
リカジニ子のリオゥ。
カスタ嬢のほうがデザイン凝っているのは気のせい(まて
わぁーバイト数ギリだわ。
200きった(笑)
気が向いたらパソコンのほうだな…。
一応シナリオは浮かんでいるけどねー!
時間がないよorz
父さんは無言で。
見送ってくれた。
+ハーフ・ハーフ
aCt.1:ハジマリ
「弾けろ…灼熱の炎…!」
高温まで練りあげられたマナが爆発するイメージを浮かべる。
ひとつき前、母さんが見せてくれた新魔術。
その威力と綺麗さに魅せられて沢山練習を重ねた。
その結果、
「フィルバニッシュ!」
炎の光が的を的確に飲み込み、爆破と同じに消滅した。
「ふぅ…どう!?母さん!?」
振り向くと優しい笑顔を浮かべた母の姿。
長い銀色の髪が風で揺れている。
「うん。上出来上出来。」
嬉しそうにそう言い、ぎゅっと我が子を抱きしめる。
「さっすがウチの子だよ~。
んもーリオゥは僕の魔術センスを意外と受け継いでくれたからね。
お母さん嬉しいわぁ~。」
そう言ってぎゅっとさらに抱きしめる。
「ちょ!母さん苦しい!」
豊満な胸で顔が埋まって呼吸出来ない。
「あら、ごめんね。
ついうれしくって。」
やっと盛大な抱擁から解放され、大きく深呼吸。
「んでさ!母さん!」
「なぁに?」
「俺さ。旅に出ていい!?」
その言葉にびっくりしつつ苦笑を浮かべる。
「お母さんの放浪クセも継いだ見たいね。」
苦笑を浮かべてため息ひとつ吐いてから、
「お父さんに話なさい。
お父さんが許すならお母さんは止めません。」
「うん。分かった!」
元気の良い返事を返して走り出す。
小さくなってゆく息子の背中をみながら母親―ジーニアスはため息をもうひとつついた。
「あの子ももう16歳。
嫁いでもう20年…か。」
長いようで短い。
「さってと。
洗濯物を取り込んで支度しなきゃね。」
そう言って庭へと歩き始めた。
世界再生から25年。
最初は世界の混乱の為、忙しかったが、それも2年の間だけ。
仲間は各自の道を歩み始め、最初はジーニアスも姉であるリフィルと途中まで同じ道だったプレセア・リーガル・しいなと一緒だった。
それから最初にプレセアがいなくなり、しいなとも別れた。
そして暫くは3人旅だったが、途中でリーガルとリフィルがいなくなった。
リーガルがリフィルに古代の科学力について研究の依頼をしたからだ。
元々、神子ゼロスを通じてテセアラ王から似たような内容で協力を仰がれていたのもあってリフィルはあっさり承諾。
ジーニアスは当然リフィルの公私共にサポートをするつもりだったが、
「貴方は貴方の道を歩みなさい。
いつまでも私の面倒をみなくても良くてよ?」
そう言われ、そういえば自分のしたいことってなんだろう?
世界再生は終わった。
ハーフエルフの差別は軽減した。
あとは各ハーフエルフと人間の問題だろう。
二人と別れて小さな安い宿で一晩考えた。
自分ももう14歳。
一人で生きて行けるすべはある。
これからまだ長い寿命。
ただ彼を待つだけではいけない。
うーんと考えたその答えは。
僕は改めて新しい世界を見たい。
そういう答えが出て一人新しい世界見学の旅に出た。
最愛の人が宇宙へ旅立ち、知り合いを訪ね歩いた。
最初は近かったという理由で元パルマコスタ。
今はメルトキオである。
ゼロスと国王にリフィルが研究をブライアン家の支援を受けて開始することを伝え、
新設されたパルマコスタ学園を訪れ、ばったりとマイティとの再会。
生きていた喜びを分かち合ったのは最初の数分。
すぐ、再勝負だ!と言われ、10分時間復習のをもらい、テスト勝負で400点中450点もらいあっさり勝利。
学園に残りなよと言われたが今は自分の旅の途中。
気が向いたらねと返事を返し、次はアスカードへ。
ここは特に何もなかったらしく、かわらぬ平穏な日々を送っていた。
そこでアイーシャ・ライナーと再会し、リフィルが居ないとライナーはがっくり肩を落とした。
苦笑しながらハーレイの事を聞くと、新しく現れた遺跡を探してくると言い残し、ふらりとどっかに行ってしまったと。
何処かで会ったら早く帰って来てねと伝言を頼まれ、また放浪の旅へ。
ふらふらと歩きまわり、遺跡に埋もれるように食い付いていたハーレイと再会し伝言を伝え、次の目的地が同じだったから2人旅になった。
それから旅商人や一般人の護衛のバイトとかしながら楽しく旅を続け、最後にヘイムダールへと。
あまり行きたくないが、なんか行かないといけないような気がして。
そしてリカルドと再会し、一緒になった。
後悔はしていない。
たとえ、里の外に出る事を禁止されても。
その時に加えた条件。
子供が世界を見たいと言ったら行かせてあげて。
裏庭にある父の工房。
そこでマジックアイテムを作っているのだ。
魔術を使うより接近戦を好み、接近戦を補助するアイテムを作る道を選んだ。
それなりの魔力の持ち主でなければ出来ない事である。
幸いにも妻であるジーニアスが恐ろしいほど魔力に満ち溢れているため、丁度良かった。
カンカンカンと特集な金属を叩く音。
確か今日は盾を作ると言っていたなと思い出ししながら声をかけた。
「父さん!」
「ん…どうした?」
手を休めず返事が返ってくる。
「俺、フィルバニッシュ使えるようになったぜ!」
「そうか…良かったな。」
顔は見えないが、きっと微笑んでくれているだろう。
「でな…俺…。
旅に出たいんだ。」
そう言うとカンカンカンという音が一瞬止まった。
「………母さんはなんて言った?」
短い沈黙。
またカンカンカンと音が鳴る。
「父さんがいいって言ったら止めないって。」
じわりと手のひらに汗が滲出る。
「………納屋に行って奥から木の箱を持ってこい。」
「だから父さん!」
そんな手伝いより答えが欲しい。
「いいから持ってこい。」
他に何も言う事はないと背中が語る。
「…はーい。」
少し膨れながら足を納屋へと向けた。
カンカンカンとリズム良く音が鳴る。
「…もう16だもんな。仕方がないか。」
何処となく呟いて仕上げる為に魔力を集め始めた。
納屋の中はひんやりとしていて、埃っぽい。
「ぶっは。相変わらずすげぇ…。」
何度か母さんが納屋を綺麗にしようと挑戦したが、全てしくじり、家事の天才である母を退けた魔の納屋である。
「えっと…木の箱…木の箱…。」
がさがさと荷物をかきわけるとやたらと白い木の箱。
「…これかなぁ…?」
うっすらと積もっている埃。
この量からすると最近持ち込まれた物らしい。
「封がしてある。」
独特な古代エルフ文字。
四方形の封印。
「母さんかなぁ…?」
インクがにじんでいる文字をなぞる。
とても強いマナを感じる。
「んまぁいいや。
これ持って行けば話聞いてくれるよな。」
木の箱は細身ながらもなかなか重かった。
「…な…何が入ってんだろ?」
振ってみてもぴったりと入っているのか音ひとつしない。
「…とりあえず戻るか。」
カンカンカン。
「父さん!持ってきたぜ!」
地面に箱を置く。
手を止めた父親―リカルドが箱をちらっと見て、
「母さんよんでこい。」
そう言い、また作業に没頭する。
「ちぇ…」
また返事を貰いそこね、母のいる庭へ。
「母さん。父さんが来いって。」
そう、伝えると、
「うん。そっか。」
と何か納得した感じで頷き、歩き出す。
「リカルド。来たよ。」
ジーニアスがそう声をかける。
「それ。開けろ。」
そう言って箱を示す。
「はいはい。リカルドじゃ開けられないもんね~。」
くすくすと笑ってゆっくりと箱を撫でる。
「……また、貴方は戦うのね。
ごめんなさい。」
そう小さく呟く。
凄く苦しそうな呟き。
なんだろう?そう思いながら母がゆっくりと封を剥がす指先を見る。
丁寧につむがれた複雑なマナ。
『母さんはやっぱり凄い…』
ピリピリと肌が震える。
封が全て剥がされる。
「はい。リオゥ。おいで。」
ジーニアスが柔らかい笑みを浮かべる。
「さぁ、貴方の手で開けなさい。」
そう言い、リオゥを促す。
「うん。」
ゆっくりと箱の蓋に手をかける。
ギィ…と音を立てて箱の蓋が外される。
「これ………!」
手を伸ばしてそれ―一振りの剣を掴む。
使い込まれた長剣。
持つとしっくりと手に馴染む。
鞘から抜くと銀色の綺麗な刃。
「母さん!これ…は…?」
そう問うと、
「それはお母さんが大好きだった人の。
その剣に何度も救われたなぁ…。」
懐かしそうに目を細める。
大きくて広い背中。
長い燕尾のマント。
「その人の忘れ物。」
そう悲しそうな笑み。
「母さん…その人の事好きだったの…?」
自然と出た言葉に慌て母の顔を見ると、複雑な感じで、
「うん。でも、昔話だから。」
そう柔和な笑みを浮かべて、
「今が幸せだもの。
お父さんとリオゥと一緒だし。」
そう笑顔で言う。
「今はお父さんが一番好きだよ。
だからぁー拗ねないでね。」
そう言って旦那さんの頭を良し良しと撫でる。
「誰が今更すねるか。」
ふんっと面白くなさそうに鼻をならす。
「んもー素直じゃないんだから。」
「お前もな。」
「んで、んでさー。
俺、旅に出て良いの?
駄目なの?」
リオゥがじれったそうに言う。
「その剣。
リオゥにあげるわ。」
さらりと言われたその言葉。
「母さん…。」
母の大切な人の剣。
どんな気持ちで託してくれたのか。
「俺…。」
ぎゅっと剣を握りしめる。
「父さんと母さんの分まで世界を見てくるから。」
決意を決めた瞳。
まっすぐと二人を見つめている。
「うん。お土産話、楽しみにしているね。」
うっすらと涙を浮かべて言う。
リカルドがゆっくりと妻の背中を摩りながら、
「沢山勉強してこい。」
そう温かい眼差しで言った。
「さてと。これで全部ね。」
キュ…とリュックの紐を締める。
「いいこと?このメモにはお母さんの知り合い。
昔の仲間の大体の居場所が書いてあるわ。」
「メルトキオ、イセリア、アスカード、ミズホ、ガオラキア…。」
ひとつ一つ頭に叩き込む。
「そう。そして、サイバックにはお母さんのお姉さん。
つまり叔母さんがいると思うから困ったら行くのよ。」
「うん。分かった。」
リオゥが頷く。
「ほらよ。持ってけ。」
ほいっと父から渡されたのはベルトと肘まである皮の手袋。
「鋼はまだ重い。
成長の妨げになるから暫くはソレで我慢しろ。
そのうち、あうのを作ってやる。」
「父さん…。」
手袋は丁度よく、初めて着けたのにしっくりとした。
ベルトに剣を固定し、リュックを背負う。
「あんまり無理しちゃ駄目よ!
何事も程々にね!」
「わかってる!」
返事を返して。
「いってきます!」
片腕を天へと突き上げる。
「行ってらっしゃい!」
元気な母さんの声。
父さんは無言だけどわかるよ。
「よしっ!目指すの王都メルトキオ!」
「あーあ。行っちゃった。」
ジーニアスが呟く。
「静かになるな。」
「うん。」
ゆっくりと寄り添って指を絡める。
「暫く二人きりですな。」
ジーニアスがふふふっと嬉しそうに言う。
「………そうだな。」
キュ…と手を強く握る。
大丈夫。自分達の息子だ。
「うわぁ…。」
森を抜けると広がる知らない世界。
母が話してくれただけの世界。
「うっしゃ。
リオゥ・リーの大冒険の始まりだぜっ!」
そう言って一歩を踏み出そうとした時、
「おっそい!」
「は?」
後ろから聞こえた声。
淡い橙色の髪が揺れる。
「リオゥ遅い!
あたしをどんだけ待たせる気?!」
長めの杖を振るう。
「カ…カスタ!?」
そこにはばっちり旅支度の幼なじみの姿があった。
+
あ。ゼロス生きているよ。
いやね。
ジーニアスが最初旅していた仲間にゼロスいなかったからさ。
ゼロスは忙しい身分なのでスグ王都に帰ったの。
んで、ロイコレはノイッシュと一緒に旅立ち、残りで行動していただけ。
1なんだけど、続かないような気がする(死)
リカジニ子のリオゥ。
カスタ嬢のほうがデザイン凝っているのは気のせい(まて
わぁーバイト数ギリだわ。
200きった(笑)
気が向いたらパソコンのほうだな…。
一応シナリオは浮かんでいるけどねー!
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